QOLを考える会とは

QOLの基本理念 Basic philosophy

基本理念 1 時代と共に

世界に先駆けて進む我が国の高齢化社会は、私たちにこれまでと異なったライフスタイルの設計を求めています。 健康なときだけではなく、慢性疾患や障害をともなう病になったときの対応の仕方、長い老齢期の暮らし方と介護の課題、そしていきつく先であるターミナル・ケアの模索が、全国民的な問題として要求されています。 介護は誰の身にも降りかかる「社会的リスク」であることを身近に感じる機会が多くなりました。これは介護が世代の義務であると同時に、介護を通して次の世代へ文化を伝える生活習慣とする必要がある時代になったことを意味するものです。
これからの保険・医療・福祉は、それぞれの専門家の力を借りながら、治療や看護・介護を、施設、あるいは自宅で受けながら、充実したクォリティ・ライフを求めていく“在宅ケア”と切り離すことはできません。
個々の看護・介護は当然として、その家族をも支える社会的サービスの援助も必要であり、コミュニティの助け合い、行政の果たすべき役割も大きくなっています。
介護は、家族だけの問題ではなく、社会全体の課題であるという認識が望まれます。
要介護者と介護者の、それぞれの目線の一致と相互補完が求められる時代が到来したと言えます。

基本理念 2 賢い医療消費者

一方、現在の医療現場では、高度医療の恩恵を受けて、かつて困難であるとされた疾病の治療や延命がはかられるようになっています。その反面で医療本来の持つべき優しさ、人間性が欠如しはじめているという指摘も数多くあります。
医療者とのインフォームド・コンセント(充分な説明と同意)や、インフォームド・チョイス(充分な説明による選択)を得る機会を正しくもつこと、私たちの意思や価値観を素直に反映できる場面を、医療に求めることが大切になっています。行政においては、2000年4月1日に施行された介護保険制度や、2008年4月1日の後期高齢者医療制度など、試行錯誤しながらも高齢化社会の対応すべきケア・システムの構築が進められています。しかし、施設ケアの充実、病院の介護機能の再編成と共に、中心的な課題は“在宅ケ
ア”の本格化に置かれていることは明瞭です。国・都道府県・市区町村の実施する保険・医療・福祉サービスは、いわば私たちの税金・保険料などによって作られ、予算化されているものです。
その予算をいかに有意義に使うかが重要な課題です。実は行政や医療機関に情報は充分にあるのですが、必要性、または関心の度合いによって「響いてくるもの」が異なります。行政のサービスを使われていることで新しいサービスを生み出すことになります。反面、「地域におけるニーズが無い」と判断されると、サービスは低下し、予算は削減されてしまい、決してサービスは育っていきません。
そのために地域の医療・福祉サービスの情報を知り、その援助体制を理解し、介護機能を社会的機能のひとつとして掌握する、賢い医療消費者としての話し合いと研究が行われていく必要があります。賢い医療消費者とは、グループワークを積極的に活用する人々のことを指しているともいえるでしょう。

基本理念 3 ヘルプ・セルフヘルプ

欧米では、介護の姿を次のように解説しているそうです。「ヘルプ・セルフヘルプ」、つまり自らの自立努力を助けるということです。
要介護者の自助努力とそれを支える健常者との距離を狭めるバリア・フリーの思想も、ここで掲げられています。自分でできることは努力し必要な援助も拒まない、または必要な援助は正しく要求する、これは自助努力と共に側面的な援助と両立させるということでしょう。厳しさがあるなかに、介護機能を社会的機能の一つとして整備してきた背景が欧米社会にはあります。
ひとりで抱え込まない、介護者が孤立しない、心と体の疲労を癒す場を作ること、“協働”という概念に、柔軟に心を開き、いつでも周囲との話し合いのできる場を作っていくことが大切です。
現代は 福祉先進国並みの早さで、家庭内介護から「介護の社会サービス化」へと進展しつつあります。だからこそ、医療消費者は常に目線を高くし、医療提供側や関係者と同一目線になる必要があります。主体的に参画し、且つ選択する意欲が求められています。これこそが高齢化社会におけるコンセプトであり、当会のコンセプトでありたいと念願しているものなのです。

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